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2014.09.13  あすなろ143 イプシロンロケット(過去記事)

2013.09号

過日はイプシロンロケットの打ち上げが延期になってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

イプシロン.png

各種報道などでご存じかもしれませんが、今回のイプシロンは、小型・低コストを目指して作られたロケットですので、これまでに打ち上げられたでかいロケットに比べると、華がないように感じられるかもしれません。ですがこれは、日本にとっては実に一九年ぶりとなる、完全新型ロケットなのです。

日本におけるロケットの開発史は、全長が二三センチのペンシルロケット(1955)から始まりました。ここから、徐々に大型化していって、その度に重いペイロード(荷物)を挙げられるように、大型化と性能アップを繰り返していったのです。

そして九七年に登場したM5型ロケットでは、それまでのM3SⅡ型がペイロード最大七七〇㌔だったのに対して、一八〇〇㌔(共に低軌道の場合)と大幅に性能アップしていました。それはそれで良かったのですが、妙な弊害も出てきてしまいました。

※低軌道とは、人工衛星を普通に運用できる最低の高度のこと。およそ3501400km

M5ロケットはオーダーメイドなので、ペイロードの衛星に応じて機体の大きさやエンジンの特性を調整しています。しかし、「次のロケットは一〇〇〇㌔まで積めますよ~」なんて言われれば、衛星を作っている方としては、「じゃあ今まで我慢して削ってきた機能をつけられちゃうじゃん。今八〇〇㌔?じゃああと二〇〇㌔か。何つけちゃおうか?」なんてことになってくるわけです。研究する立場からすれば、やってみたいことは、まだまだ山ほどあるわけですから。

しかし、こんなことをしていると、今度は衛星を作ること自体に、これまでよりも予算と時間がかかるようになってきます。もちろん、ロケットそのものにも、それ以前の小型のものよりも予算と時間がかかってきます。

そこで、ならばむしろ、小型の衛星を小型のロケットでたくさん打ち上げた方が効率がいいのではないか、となったのです。

また、日本には当時、Mシリーズとは別にNシリーズ(後にH2Aへとつながる系統)というロケットがありました。そして、Nシリーズの方のペイロード打ち上げ能力は、最初からM5をずっと上回っていたのです。

もちろん、Nシリーズの方が一機の製造価格は高くつくわけですが、ペイロード一㌔あたりの「キロ単価」は、大きい方が安くなります。言ってみれば、「まとめ買いした方が一つ一つは安上がり」みたいなもので、急ぎではない小さい荷物じゃないのなら、大きいロケットの打ち上げに便乗して載せて貰っちゃえば、ずっと安上がりになるのです。

というわけで、Mシリーズの系統は小型・低価格に割り切って運用するということになって、M5は一旦打ち切りになりました。そしてその小型・低価格を目指して新たに開発されたのが、この度のイプシロンとなるわけです。

イプシロンは、M5の3段目と4段目(つまり上の二段)を、H2Aの補助ロケットに重ねたもの、というのが基本構成です。これによって、性能アップと当時にコストダウンできる、というコンセプトです。しかし実際には、設計段階から完全に別に作ってあったものを組み合わせるためには、相当な苦労をしたということです。

イプシロン-2.png

イプシロンの1段目を、M5の改良型にしないでH2Aの補助ロケットのエンジンにしたのは、①H2A補助エンジンの方が設計年が新しいから高性能、②多数生産されていてコストが下がっている、③現在も生産されている、といったあたりが理由ではないかと思っています。

ところで、ロケットの打ち上げといえば、数十台のコンピュータの並んだ管制室で、何十人ものスタッフが黙って画面を見つめる中、「成功です!」「うおー」というのがお約束のイメージだったのですが、イプシロンは数台のパソコンと数人のスタッフでチェックや管理ができちゃうらしいですね。

やろうと思えばパソコン一台で管理できちゃうのですが、一応リスクを考えて二台のパソコンで管理するんだとか。なんでこういうことができるかというと、自己診断をロケット自身にやらせちゃうからなんだそうです。これによって、相当なコストダウンとなっています。

ただし、管理する人が少なくなると言うことは、それだけチェックする目が減るということにもなります。そのリスクを指摘する人もいるようですが、それは今後、実際に運用してみないと、良否の判断はできないと思います。

ここでちょっと話がずれますが、こんなことを思い出しました。戦車の話です。

現代の戦車は、車長・砲手・装填手・操縦手の四名乗車が一般的です。しかし現在の陸上自衛隊の戦車は、自動装填装置を備えることで装填手を省いて、三名乗車です。

ところが、乗員が一人減ると、例えば一人やられたら戦闘できなくなるとか、整備や壕を作成する人手が不足する、という理由から、リスクが増えるという意見もあります。実際に、実戦経験の豊富なアメリカ軍とイスラエル軍は、あえて四名乗車にこだわっているという噂もあります。しかし、それをハイテクで補っているのが日本の戦車だ、という諸外国の評価もあります。

こればっかりは本当に戦争してみないとわかりませんね。イプシロンのパソコンの台数の件も、運用が始まってみないとわからないこともあるので、全てはこれからでしょう。

今回の延期も、カウントダウン中にコンピュータの自己チェックで、ロケットと地上管制との情報伝達が0.07秒ずれていることを発見したから、なのだそうです。とりあえずは、コンピュータの自己診断は優秀なのだと思ってもいいんじゃないんでしょうか。

ところで、イプシロンやMシリーズロケットは、やろうと思えば世界でトップクラスの高性能ミサイルにもなります。実はアメリカがその技術を欲しくて相談してきたことがあるのですが、日本は断ったそうです。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  



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