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2014.10.11  あすなろ120 百匹目の猿(過去記事)

2011.10号

疑似科学というものがあります。エセ科学とも呼ばれています。いかにも科学的な話に聞こえるが、実は科学的根拠は無い、という話です。私はこういうものが大嫌いなので、この場では何度も何度も取り上げて糾弾しているのですが、この手のネタは、本当に次から次へと尽きることがありませんね。

ごく最近でも、マイナスイオンがあまりに叩かれたので、プラズマクラスターとかナノイーとか、色々と新しい名前を考え出しては怪しい商売に走り続けていますよ電器屋さん達は。あと十年経ったら、きっとこれも一斉に無くなって、また新しいカタカナが登場するのでしょう。

ま、仮に百歩譲ってそういうものに除菌効果があるとしても、問題はそれが家庭で効果を発揮するかなんですけどね。

公式サイトやパンフなどにある「実験結果」では、空気中の菌を「99%抑制」とか「100%分解」とか、確かに書いてあります。しかしそのデータをよーーく見ると、ペトリ皿に入れた菌だの45リットルの空間だの、何言ってんだこいつってレベルです。

ペトリ皿って、手のひらに乗る大きさですよ。45リットル?冷蔵庫だって200リットルくらいあるのに?そんな微細な空間の菌が殺せたとして、だから何?ところで、八畳間は40000リットルくらいあるわけですが、どうしてこういう空間で実験しないんですかメーカー様?

あと、プラズマクラスターの売りはインフルエンザウイルスを無毒化することのようですが、インフルエンザって空気感染じゃなくて、飛沫感染なんですけど。空気中のウイルスを無毒化したって防げないんですけど。それに、普通は外でうつされるんですけど。

もっと言えば、東京大学が二〇〇九年から二〇一〇年までに行った実験では有意差が出なかったと、今年の初めに日本疫学会で発表してるんですけど。

......とまあ、こんな私ではありますが、それでも何年もの間、疑似科学ということに気づかずにいた「知識」というものも、たまにあります。

そのうちの一つが、今回お話しする「百匹目の猿」の話です。

「百匹目の猿」の話は、ご存じでしょうか。こんな話です。

・・・・・・・・

宮崎県串間市の幸島(こうじま)に、ニホンザルが棲息しています。そのうちの一頭が、ある時、イモを海水で洗って食べることを発見しました。すると、他の猿もこれを真似(まね)して洗うことを始めて、イモを洗う猿が増えていきます。

そうしているうちに、ある一定以上の数(例えば百匹)の猿がこの行動をするようになった時、この行動が群れ全体に一斉に伝わったのです。しかもその時、そこから遠く離れた、大分県の高崎山に住んでいる猿の群れでも、突然この行動が見られるようになりました。

このように、ある行動、考えなどが、ある一定数超えると、これが接触のない同類にも伝わるという、不思議な現象です。

・・・・・・・・

冷静に考えれば、あり得ない話です。しかしこういう話というものは、子供の頃に聞いてしまうと信じてしまうんですよね。

私がこの話を初めて聞いたのがいつかは覚えていませんが、多分高校生以下だったはずです。今の私みたいに、世の中にウソがあふれていることは知りませんでしたので、もっと素直だったのですよ。ええ。

この話は、ライアル・ワトソンという人の著書の中で紹介されました。

この話が他の疑似科学と違ってやっかいな点は、この著者が、生物学者だってことです。しかもご丁寧に、観察された具体的な地名まで書いてあって、論文の引用元もちゃんと書かれているのです。もちろん、論文は実在するものです。普通、そこまで書いてあれば、信用しちゃいますよね。

元ネタとなった研究は、地名からも分かる通り日本で行われました。幸島でサルの研究を行ってきたのは、京都大学の今西錦司教授です。この研究が画期的だったのは、同じ種類の動物の観察が同時に二カ所で行われて、地域差というものを見極めようとしたことでした。サル群れの文化的構造がわかるとして、世界中から注目を集めていた研究でした。

野生のニホンザルの餌付けに成功した研究チームは、色々なエサを与えてみます。その中に、サツマイモがありました。サツマイモは、幸島には元々無かったもので、最初は興味を持った若いメスのサルがあれこれ工夫しているうちに、水で洗って砂を落とすことを発見します。さらに、洗い水が海水だと、面白い味になることを発見します。

この、新たな「発明」は、同じ群れの同年代のサルも真似をするようになります。さらに、その世代のサルが子供を持つと、今度は子供に「教育」することで、次世代に行動が伝わっていった、という話です。

しかし、元の論文によると、イモ洗いを始めた世代よりも上の世代は、最後までイモ洗いをしなかったそうです。もちろん、空間を超えて高崎山まで伝わったなんて話はありません。

ライアル・ワトソンは、その語り口によって熱狂的な信者を多く作ったのですが、皮肉なことに、その嘘を暴いたのも信者でした。ワトソンの提示する論文を調べてみたら、彼の言っているような内容はどこにも無かったのです。そしてワトソン自身も、晩年にはその嘘を認めています。

ところが、一旦広まったこの手の「学説」は、もう止まらないんですよ。あとで嘘だとわかっても、「嘘だった」という話は「発見された!」という時ほどは話題に上がりませんから、信じたままの人が残るんですよね。

かくして、嘘を書いて本を売った奴は勝ち逃げして、さらにそれを引用して嘘を広げる奴らが大量に現れ、その嘘は世に「定説」として残るのです。

嘘の内容によっては、それが政治的に使われちゃったりすることもあります。実際に中国・韓国・北朝鮮の三国は、現在進行形で自国民を嘘で洗脳して、日本が悪いとか未だにやってますよね。騙されちゃダメですよ。

とにかく、怪しい話はもとの情報源を辿っていくことで、真偽が確かめられるのです。血液型で人格を決めつける人たちは、その話がどこから始まってどう広まったのか、一度「歴史」を調べてみることをお勧めします。

私の書いているこれだって、もしかしたらどこかに嘘が混ざっているかもしれません。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  



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