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2014.11.03  あすなろ108 動物名とその定義(過去記事)

2010.10号

世の中には、「定義を後付けされた言葉」というものがたくさんあります。

例えば、「赤ちゃん」という言葉があります。赤ちゃんと言われて、普通はどのくらいまでを指すものなのでしょう?

法律用語として新生児、乳児、幼児、などという言葉があります。ここでは、新生児は生後一ヶ月まで、乳児はそこから一歳まで、幼児はそこから小学校に上がるまで、と定義を決められています。しかし、赤ちゃんという言葉はその枠が決まっていません。ですから、恐らく人によって解釈は様々でしょう。

しかし、ここで今「赤ちゃんとは生後十ヶ月までを指すものとする」と誰か偉い人が決めたとします。すると、一歳過ぎの子供をついうっかり「赤ちゃん」なんて呼ぼうものなら、「赤ちゃんってのは十ヶ月までなんだよ(笑)」と、勝ち誇った顔をして指摘する奴が出てくるんですよね絶対。あほかと。

前回に少し書いた野菜と果物なんてものも、まさにこんな例の一つなんですが、今回は動物の名前で例を挙げてみましょう。

小学生と話をしていて、一番よく出てくるのが「虫」という言葉の件です。ちょっと物を知った小学生だと、「クモは虫じゃない」とか言い始めるのですが、残念、クモもムカデも虫です。ただし、昆虫ではありません。

「昆虫」と「虫」は、イコールではありません。昆虫とは、小学校で習ったとおりで、もう少し専門的に言えば節足動物門昆虫綱に属する動物の総称です。

しかし、虫という言葉にそういった厳密な定義はありません。が、昔からの慣習に沿って定義を定めるとすれば、昆虫にクモ、ムカデ、ダニ、ダンゴムシなどの陸棲節足動物を合わせたものでしょうね。このあたりまでなら、比較的違和感なく「虫」としてもいいんじゃないんでしょうか。

ただ、江戸時代に書かれた資料を見る限りでは、本来の虫の意味はもっと幅広く、爬虫類や両棲類なども含まれていたようです。要するに、獣と魚介類以外は虫なのでした。

他の動物の例に行きましょうか。

ワシとタカは、どこが違うのでしょうか。

分類学的には、ワシもタカも、全く同じ仲間です。ただ、大きさだけで、なんとなく大きいのがワシで、小さめなのがタカと呼ばれているだけです。でもクマタカは、カンムリワシよりも大きいですから、何か変なことになっていますが、気にしてはいけません。東北の人にとってクマタカはタカレベルで、沖縄の人にとっては、カンムリワシは立派なワシだった、というだけのことでしょう。

タカの仲間には、他にもトビ、ミサゴ、チュウヒ、ツミ、サシバ、ノスリなど、独特の呼び名を持つ種類があります。ですから、ワシとタカに二分なんて、そもそもできないのです。

ワシとタカは、英語でもホークhawkとファルコンfalconに区別されています。英語圏では同様に、大形のカエルをトードtoad、小型のカエルをフロッグfrogと呼び分けていますが、これも大きさだけの何となくです。

クジラとイルカも、こういった何となく分類にあたります。ハクジラの中で、大型の種はクジラ、小型の種はイルカ、と呼ばれていますが、分類的には特に明確な違いはありません。

しかし、ワシタカと違って、「クジラ」よりも大きい「イルカ」がたまたま無かったものですから、図鑑的には「成体の体長が四メートル前後以下の種類をイルカと呼ぶ」なんて書き方をすることがあります。

そうすると、またしたり顔で「体長が4メートル以下ならイルカなんだよ」と語り出す奴がいます。ネット上にも、そんなことがあちこちに書いてあります。しかし、それはある意味間違いです。定義の順が逆ですよね。4メートル前後以下の種類が、たまたまイルカと呼ばれていただけのことです。

だから、ベルーガは雄が5メートルで雌が4メートルいかないけどどうすんだよ、とか、ゴンドウクジラとかコマッコウは4メートルいかないけど、とか、つっこみどころはいくらでもあるのです。実は。

さらに言うと、先程のワシタカのように、イルカともクジラとも呼ばれない種類はあります。スナメリ、イッカク、シャチあたりがそうです。この3種は、私としては、クジラでもイルカでもない、スナメリとイッカクとシャチだ、としておきたいところです。

あと最近、テレビなどでオルカという呼び名を使う人が時々いますが、あれはシャチのことです。別の種類ではありません。シャチの学名Orcinus orcaから取っているだけで、要するにカッコつけているだけです。

呼び名といえば、私が子供の頃に読んだ図鑑には、オウサマペンギンとコウテイペンギンが載っていました。確か、テレビの動物番組でもそういう名前だったはずです。しかし最近は、これがいつの間にか、キングペンギンとエンペラーペンギンになっちゃっているようです。何でわざわざこういうことをするのか、偉い人の考えはわかりません。

フクロウという鳥の仲間に、ミミズクと呼ばれる種類群があります。フクロウの頭に、耳のように立った羽(羽角)がついているのがミミズク......のはずなのですが、ミミズクの中にも、アオバズクのように羽角が無いものがあったり、シマフクロウのように羽角のついた「フクロウ」もあります。

サケとマスも、区別は適当です。サケっぽいのがサケで、ニジマスっぽいのがマスなのですが、かなりサケっぽいマスもあります。ただ、シューベルトの歌曲「ます」のモデルは、ニジマスみたいな魚なので、サケを連想しないほうがいいと思います。

アシカとアザラシの違いはわかると思いますが、アシカとオットセイの違いになると、これまたちょっと難しくなってきます。元々は、アシカという種類とオットセイという種類があるのですが、その総称としてアシカという呼び名がありますので、オットセイはアシカの仲間、ということとされています。

こういった分け方は他にもあって、上述のワシはタカの仲間、イルカはクジラの仲間、マスはサケの仲間、となっています。しかしこれは、分類学的に上位のグループを、たまたま代表させただけのことです。哺乳類を人間の仲間、と呼んでいるみたいなものですね。最近はこれもひどくなってきて、イヌはネコの仲間とされています。おかしいだろそれ。

最初の話に戻ります。私はクルマの後部に「嬰児在中」という札を貼っています。嬰児とは、大宝律令では、三歳児(数え)までを呼ぶことにしたそうです。しかし、今ではそんな厳密な意味はありません。このようにあとから定義の無くなる言葉は、珍しい例みたいです。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  


※ 一部訂正記事があすなろ109にあります。


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