茨城県下妻市の学塾ヴィッセンブルクは少人数制で質の高い授業で上を目指す学習塾です。

コース紹介

トップページ

学塾ヴィッセンブルクについて

外観写真

住所
〒304-0067
茨城県下妻市下妻乙1277-6
電話・FAX
0296-43-2615
アクセス

お問い合わせ

  • 生徒募集中!!

2014.12.05  あすなろ87 落葉のシステム(過去記事)

2009.01号

まずはお詫びと訂正から。

前回「赤ん坊がぶら下がれるわけねえだろ。親父も老いたな()」と書いたところ、「ウチのばあちゃんが昔、ぶら下げたらしいっす。ばあちゃんマジパネエっす」という、貴重なご意見をいただきました。

科学信奉主義者の私としましては、伝聞とはいえ、実験データを何よりも重視致します。つきましては、「赤子はぶら下がることができる」と訂正致します。根拠となるデータを持たないまま仮説を見苦しく振りかざして、大変申し訳ありませんでした。

わが家の山茶花(さざんか)が、今年の花の盛りを過ぎました。買ってきて植えたのが八年前、最初のうちは心許ない開花数だったのですが、ここのところようやく「満開」がわかるような咲き方をするようになってきました。そう思いながら眺めていて、ふと気づいたことがあります。

「落ち葉焚き」という童謡があります。「垣根の垣根の曲がり角」というあの曲、季節はいつだと思いますか?思っていましたか?

一番の最後に「北風ピープー」とあるので、私はすっかり真冬の曲だと思いこんでいたのですが、二番に「山茶花山茶花咲いた道」とあります。

先に述べた通り、少なくともわが家では、山茶花は年末までには無くなってしまいそうです。ということは、山茶花の季節=晩秋から初冬ということになりますので、この曲も真冬の曲ではない、ということなんですね。

確かによくよく考えてみれば、本当に真冬になっちゃったら、もう落ち葉焚きなんかしませんわな。葉が落ちてこないんですから。

小学校でこの曲を習って以来二十余年経って、ようやく真意を理解しました。ウチのカミサンも、同じく真冬だと思っていたようです。小学生の頃の思い込みというものは、随分とあとまで続くもののようです。

今年もまたこうして、葉を落とした木々が増えてきたわけですが、その一方で、季節による落葉をしない樹木もあります。前者は落葉樹、後者は常緑樹と呼ばれていますが、今回はこの違いを考えてみようと思います。

まずは、冬に落葉する理由から。

葉というのはそもそも、光を受ける器官です。少しでも光を受けられるよう、表面積を可能な限り広くとっています。またその表面に無数の気孔を配することにで、二酸化炭素をたくさん取り入れ、酸素や水蒸気をたくさん放出できるようになっています。

しかし光合成は、気温が下がると効率が下がります。それでも細々と光合成をすることは可能ですが、酸素や二酸化炭素をガス交換しようと気孔を開くと、外は空気が乾燥しています。この先は、ハイリスクな乾燥との戦いになってしまうのです。

さらに厳冬期になると、今度は導管が凍結する恐れがでてきます。溶けかかった状態の氷を流そうとすると、こんどは気泡ができてしまいます。すると、葉から根に通じる水のつながりが途切れてしまいます。要するに、水の流れが悪くなり、水切れが起こるのです。

落葉樹がここで選択した道は、「それならばいっそ、冬は光合成をやめてしまおう」というものでした。

光合成をやめるのなら、葉を保持している必要はありません。むしろ、葉の表面積が無くなる分だけ、乾燥に強くなります。導管内の水が凍結しても、完全に解凍してから動かす分には気泡はできません。

そこで、冬期は葉を捨てて、活動停止することにした、というわけです。(植物の生育地域によっては、乾期に落葉して雨期に葉を出す樹木もあります)

しかしこの選択は、余計なコストを必要とします。何せ、せっかく作った葉を使い捨ててしまうわけですから、本当はもったいないのです。ですから落葉樹は、最初からあまり丈夫な葉を作りません

さらに秋になると、葉にあってまだ使えそうなものは、体内にどんどん引き上げ始めます。溜まった栄養はもちろん、葉緑体だって一旦ばらして回収します。春になったら、組み直して再利用するのです。

このように緑の部品を回収していくと、葉から緑色が失われていきます。代わりに、それまで緑の強さに隠れて見えていなかった赤や黄色が見えてくることがあります。これが紅葉です。紅葉の色づきに関しては、もう少し別の要素もあるのですが、今回は割愛します。

また、春になって芽吹く際には、栄養補充(=光合成)のない状態で、葉を作っていかなければなりません。そのために、秋までに幹や根に栄養を貯めておくことになります。栄養を貯め込んで休眠するというところは、動物の冬眠と同じなんですね。実は。

樹木に限らず、多年草も同じような方向性の「冬眠」をすることがあります。こちらの場合は、地上部分を全て枯れさせてしまって、根っこに栄養を貯め込んで冬越しします。

一方、熱帯などの環境の変化が少ない地域では、基本的に常緑樹です。常緑樹では葉を使い捨てる必要がないため、丈夫で長持ちする葉を作ります。特に、少々寒くなる地域に対応した植物は、葉に厚みを持たせ、表面をツルツルに堅く仕上げて、乾燥に耐えるようにしてあります。最初にあげた山茶花は、この典型的な例と言えるでしょう。

というわけで寒い地方に行けば行くほど落葉樹......とはならないんですねえ。

実はこれまでの話は、広葉樹=双子葉類=「葉っぱの平らな植物」の話でした。マツやスギなどの針葉樹では、話が違ってきます。

針葉樹は、植物としては原始的な部類(裸子植物)に入ります。スギを見れば分かるとおり、葉の面積はあまり多くありません。また、幹の中で水を通す通路は仮導管(かどうかん)と呼ばれるもので、要するに細いのです。つまり、光合成の効率があまりよくありません。光合成に関しては、広葉樹と競争したら確実に負けます。

しかし、葉の面積が少ないということは乾燥に強く、仮導管が導管よりも細いということは凍結に強く、つまりは寒冷地でも耐えられる性格を持っていることになります。もう少し言えば、寒冷地では広葉樹との競争に勝てるわけです。ですから、あえてこの古いシステムのままで、その先に進化しなかったのでしょう。

さらに寒冷地に行けば、もっと原始的な植物(地衣類)しか棲息していません。生物は、進化する必要がなければ、無駄に進化しないものなのです。

ですから、今から二万年後の地球も、案外同じような生き物ばっかりかもしれませんね、ドゥーガル=ディクソンさん。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  



一覧に戻る

ページの先頭へ