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2015.05.28  あすなろ163 分類について色々

2015.05号

ウチのカミサンは、いわゆる専門職ですので、交代人員が来るまで帰宅できないときがあります。

つい先日も、そんな状況がありましたので、自宅待機する中学生のために、ハヤシライスを作っておくことにしました。

小学1年生にも、買い物につきあってもらったり、タマネギを剥かせたり、ルウを開けさせたり、と手伝ってもらったのですが、調理に一段落して小学生を見ると、ルウの空箱を前にして遊んでいます。

空き箱を「こうやって並べると」などと言っているのに付き合いながらふと見ると、面白いことに気付きました。

私が今回買ったのは、「ハッシュドビーフ」です。店の売り場では、同じコーナーに「ハヤシライス」と「ハッシュドビーフ」が混在していたのですが、小学生と相談しながらテキトーに選んだ結果、たまたま「ハッシュドビーフ」となりました。

ところが、裏の成分表を見ると、

 品名 ハヤシルウ

となっています。へー、そうなんですか。

確か、成分表示はある程度の枠に縛られた書き方が決まっていたはずですので、多分、使える単語も、ある程度決まっているのでしょう。品名に関しても、きっと品名一覧があって、その中に「ハヤシ」や「ハヤシルウ」はあっても、「ハッシュドビーフ」は無いのでしょう。品名とはつまり、分類のことで、商品名ではわからない正体を明かすのが目的ですので。

つまり、「ハッシュドビーフって何?」という疑問に対して、「カレーじゃなくてシチューでもなくてハヤシですよー」とわかるために必要な表示なのです。

このように、国が定義として決めた言葉が「時代遅れ」になってしまうことは別に珍しいことではありません。

例えば、自動車の「形状」。

自動車の車検証には「車体の形状」という項目がありまして、要するにこの車はどんな形ですか、という分類がされています。

あなたの家の車はどんな形でしょうか。

セダン?ワゴン?あとはワンボックスとかミニバンとかハッチバックとか、そんなところでしょうか。ヨンクという言い方の車もありますね。他にも、クーペとかオープンとかいう種類の車もあります。軽トラのような、仕事で使う車はちょっと除外しましょう。

という分類に対して、車検証に書くことができる形状は、乗用四輪車の場合は、たった三種類しかありません。すなわち、「箱型」「幌型」「ステーションワゴン」です。明らかにオープンカーのことを指すとわかる「幌型」を除くと、乗用車の分類は、「箱型」と「ステーションワゴン」の、実質二択ということになります。

この基準を決めたのがいつなのかは調べきれませんでしたが、車検制度が義務化されたのが一九五一年(昭和二六年)ですので、おそらくこの時期までに決まったことなのでしょう。昭和二六年といえば、日本最初の大衆車(スバル360)が登場する前ですので、当時は車といえばバスかトラックかタクシーで、自家用車はまだわずかでした。

そんな時代ですので、トラックに比べて「箱型」、屋根がついているから「箱型」、という理由で、乗用車=箱型と決められたのでしょう。

なお、ステーションワゴンとは、乗用車の後部が伸ばされて貨物用車体(いわゆるバン)となった車のうち、主に乗用目的に使われるもの、というのが本来の定義です。そういうわけで元々は、貨物共用の車体ならステーションワゴン、としていたようですが、最近では乗用専用のワンボックス車もステーションワゴンになっていて、もうどっちでもいいみたいです。

以上、クルマに関しては、こんなふうにどうでもいい分類もありますが、これとは別に、我々にとってどうでもよくてもプロにとってはえらい違い、という区分もあります。

例えば、「雑誌」と「書籍」の違い。

雑誌といえば一般に、週刊や月刊などの定期出版の本のことです。書籍といえば、まあ本のことですよね。しかし、書店にとっては、この二種類は扱いを変えなければならない商品なのです。

雑誌には必ず発売日があります。そして書店はこれを守らなければなりません。書籍には発売日がないため、書店は荷物が到着次第並べることができます。

また、本が売れなかった場合、書店は出版社(厳密には問屋)に返品することができるのですが、雑誌には返品できる期限があります。あまり古い雑誌は返品できません。書籍には原則として返品期限がありません。

言われれば、確かにそりゃそうだと思うような内容ですが、問題は、書籍のように見える雑誌です。典型例では、コミックス(マンガ単行本)がそうです。見た目は、我々からみれば普通の「書籍」ですが、雑誌扱いのものが多数有ります。わざわざ雑誌扱いにするのは、発売日を統一するためのようです。

また、ムックという、雑誌と書籍の中間扱いのものもあります。ムックというのは、雑誌magazineと本bookでムックmookなんだとか。これ、我々にとっては心底どうでもいい専門用語なのですが、そんな言葉を本の表紙に堂々と書くのはやめて欲しいですね。

このような、シロートが見てもよく意味がわからない区分というものがある一方で、誰がどう見たって違うのに、頑なに同種ですとされているものもあります。

例えば、海上自衛隊の「護衛艦」とか。

戦時中は、軍艦といえば戦艦を始めとして巡洋艦、航空母艦(空母)などがあって、それに加えて駆逐艦、潜水艦、砲艦、掃海艇......などの艦艇がありました。

現在、海上自衛隊の保有する自衛艦には警備艦と補助艦があって、警備艦のうちの機動艦艇(戦闘能力を持つもの)には護衛艦と潜水艦の二種類があります。

潜水艦はもちろん潜水艦です。しかし、それ以外は全て護衛艦です。というわけで、こんな船も護衛艦です。

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「これって空母......」「いえ護衛艦です」

「え、だって」「護衛艦です」

空母ではありません。護衛艦です。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  



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