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2015.08.06  あすなろ70 土用の丑(過去記事)

2007.08号

今年もやってきました。土用の丑です。ウナギの季節です。

私の生まれ故郷は、一応はウナギの名産地として知られる地域でして、こっちよりも少しは安く食べられるところであります。ただ、こちらでも鰻屋は数多くありますし、千葉にはウナギの産地もありますし、流通の発達した昨今では「名産地」というものは有名無実化していますけどね。

それよりも、ウナギといえば鰻丼だろ普通。んでウナギは二段重ねだろ。なんで鰻重なんだこっちは。だいたい重箱って食いにくくないか?重箱ってのはそもそも携帯容器だろうが。店で出すものじゃないよな。箸で飯粒を食べるのに、重箱っておかしいだろ。

......あ、いや、あの、何でもないです。

閑話休題。

ウナギは毎年、この季節だけで年間の半分を売り上げるそうです。こういう「売れるときと売れないときの差が激しい業界」というのは、いろいろと大変でしょうね。

今年の土用は、ウナギといえば中国の話題となってしまう希有な年ですが、例年では、関連キーワードとして登場するのは「夏バテ」と、あとはやはり「平賀源内」でしょう。

この平賀源内という人物が、また面白い人なんですねえ。一応説明します。

平賀源内は、江戸時代の蘭学者でした。蘭学者というのは、オランダ語を学んで洋学を研究した人で、同時に西洋医学を学ぶ医者である人も多数いました。源内もそのうちの一人です。解体新書を書いた杉田玄白も同じで、源内の友人でした。

平賀源内は、蘭学者であるのと同時に作家、科学者(発明家)、画家などでもありました。

作家としては、特に戯作者として、人形浄瑠璃などに多くの作品が残っています。もちろん、蘭学者としての著作も数多く残っています。

科学者としては、有名なのはエレキテルと言われる静電気発生装置(オランダ製)を修復して紹介したことでしょう。他にも、石綿を利用して火浣布という「燃えない布」に実用化し、幕府に献上をしています。また、寒暖計を発明しました。さらには電気、気球の研究をしていたとも、竹とんぼの発明者であるとも言われています。

さらにさらに、本草学、儒学、漢学、俳諧を習得し、油絵の技術を学んでそれを広め、オランダ式の製陶法を学んで平賀焼として紹介し、鉱山の採掘や精錬の技術を学んだのちに伊豆で鉱山開発をし、物産学を学んで物産博覧会を主催し、炭焼や通船工事を指導し......と、多岐にわたる才能を発揮した天才でした。言ってみれば、日本のダビンチです。

というような源内に、ある鰻屋が相談に行くわけです。夏場は鰻の売れ行きが悪いので、何とかいい方法は無いものか、と。

そこで源内が提案したのが、丑の日の「う」の字とうなぎの「う」を結びつける広告コピーでした。この商法は成功し、大変繁盛したと言うことです。これを見て、他の鰻屋も同じ事を始め、そのまま現在に至る、ということです。

源内は、他からも広告用の宣伝文句を頼まれていたということで、日本初のコピーライターと評価する人もいるようです。

同業者が真似をしていくうちに国民的習慣になるというのは、今で言うところのバレンタインのチョコレートみたいなものでしょうね。昔も今も同じということです。

私の記憶では、おはぎとぼたもちの由来もこれと同様で、昔、とある店が、これに季節毎に違う花の名前を付けて売った、というものだと思っていたのですが、現在ではどうも違う説の方が有力のようです。ちょっと残念。

さてそれでは、土用の丑とは何でしょう。

まず、土用というのは、「第五の季節」です。日本には、五つ季節があるのです。

まあ、これは実は中国由来の五行という、世の中のあらゆるものは五種類に分けられる、といった考え方の一環でして、四季を無理矢理「五季」にするために、季節と季節の境目を土用という季節ということにした、というのが始まりなんですけどね。四季の境目の、十八日間だけが土用という季節です。一度に来る土用が十八日間で、これが年に四回あるので計七十二日間。これでちょうど一年の1/5としたようです。

というわけで土用は、そう。秋だって冬にだって来るということなのですよ。夏だけじゃないんですねえ。

最近では、冬の土用にもウナギを食べようと言うキャンペーンまで始まっているようです。もう夏バテとか何とかは関係ない世界にいっちゃっています。がんばってください。

では丑の日とは何か。この丑は、もちろん干支を使った暦のことです。高島暦あたりを見ればわかると思うのですが、毎日の暦には、子丑寅卯......と順に、十二支がついています。

十二支に対して、土用は十八日間。ということは、丑の日が2日ある年と1日の年は、それぞれがちょうど1/2の確率で現れると言うことになります。なりますよ。なるんです。さあ計算してみましょう。

実際、土用の丑の日は、二年に一回は二日間あるようです。今年は一日だけですが、来年と再来年はそれぞれ二日間あるようです。期待してください。......何を?

ついでに、ウナギの話でもしましょうか。

実はウナギという魚はこれがまた、不思議な生き物なんですねえ。

ウナギは、いわゆる川魚なのですが、産卵時には海に下ります。(中略)稚魚は、柳葉のような形をしていて、海洋を回遊します。その後変態し、シラスウナギと呼ばれる形態になって、川に戻ってきて、川魚として成長します。養殖ウナギとは、このシラスウナギを捕まえて育てたものです。

......というような状態で、ついこの間まで(中略)の部分が本当に謎だったのです。

しかし2006年、東京大学の研究チームが、ニホンウナギの産卵場所を、ほぼつきとめました。産卵時期も、ほぼ解明しました。

ちょっと頼りない書き方のように見えますが、これでも世界初の快挙なのです。

もちろんこれが初ですから、他の種類のウナギはまだまだ不明です。また、川から産卵場所までの経路も、まだほとんどが不明です。これだけ親しまれている魚なのに、まだよくわかっていないのです。そのギャップが、なんとも不思議な感じがします。

さて、先に書いたとおり、ウナギというものは本来、夏には売れないものでした。本当の旬は、脂ののった冬なのです。というわけで、私は冬にウナギを食べることにしますよ。

......あれ?俺様は冬に食べるキャンペーンにまんまとのっかっちゃってるのか?

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  









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