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2015.08.07  あすなろ60 冥王星(過去記事)

2006.10号

冥王星ですよ冥王星。「太陽系の惑星」では無くなるんですって。

惑星占いで商売している人たちは、きっと大慌てでしょうね。ワハハハザマミロ。

実をいうと、冥王星が惑星として認められるかどうか、という議論は、しばらく前からあったことでした。冥王星は、惑星としては何かと独特の個性を持っていますからね。

まず、軌道が普通と違いますね。他の惑星が、全て同一平面上にあるのに対して、冥王星の軌道平面は十七度傾いています。また、他の惑星がほぼ同心円状の軌道を持つのに対して、冥王星はもっとゆがんだ楕円を描き、あまつさえ天王星よりも内側を通過することもある、という状態です。

と、ここまではよく知られた「特徴」です。しかしこれ以外にも、色々な面で特殊な存在なんですよこの星は。

太陽系の惑星は、皆それぞれの特徴を持っていますが、共通点も持っています。

たとえば、地球と火星はよく似た星だと言われます。共に金属で構成された核とマントルを持ち、ケイ酸塩からなる堅い地殻(表層)を持っています。この類似点は水星、金星にも見られるため、ここまでの星は「地球型惑星」と分類されています。

これに対して、木星、土星、天王星、海王星の四つは、地球のような堅い「地面」を持ちません。

木星と土星の表面は、遙か深いところまで液体水素ガスに覆われていて、その表面を大気が包んでいます。天王星と海王星は氷のマントルを持ち、それをものすごい厚さのガスが覆っています。また、表層の大気は、すさまじい強風となって吹き荒れています。以上のような共通項により、この四つの惑星は、「木星型惑星」と分類されています。

一方冥王星は、岩石の核を厚い氷が覆ったもので、中層部のマントルを持ちません。要するに、氷がくっついた岩なんですよあれは。といった点から、地球型とも木星型とも言えない存在なのです。

と書くと、冥王星なんか最初から惑星にしなければ良かったのに、と思うかも知れませんが、発見当初はそこまでわかっていなかったので、仕方がなかったのです。最初は地球型惑星で、大きさも地球と同じくらいだと思われていました。後に、詳細がわかってくるにつれ、矛盾が見つかってしまっただけのことなのです。

冥王星の発見は、海王星の発見がきっかけになりました。海王星を発見したフランス人天文学者ルベリエが、この星の動きに影響を与えている未知の天体がある、と予言したのです。後にそれはルベリエの見当違いであることがわかったのですが、その言葉を信じて、星空をしらみつぶしに探し続けたアメリカ人のトンボーが、気力で見つけ出したのが冥王星なのです。

このトンボーは、天文学者ではありませんでしたので、自分の計算によって位置を予測するということをしませんでした。ただひたすら、星空の写真を撮りまくり、星図上を動いている天体を探し続けたのです。何か見つけたら軌道計算をし、惑星かどうか見極める、ということを一年間繰り返し、ついに発見したのは1930年のことでした。

ところで、冥王星の発見よりも130年ほどまえの1801年、セレスという星が、新惑星として発見されています。しかしその後、同じ軌道上から別の天体が次々と見つかります。その結果、「セレスは、多数存在する小惑星の一つに過ぎない」ということとなり、惑星とは認められない存在となりました。

それに対して、冥王星の場合は、同じ軌道上に小惑星が見つからなかった為に、惑星として認めることとなった節があります。軌道などから疑問視する声があったものの、「セレスとは違う」というのが一番の理由となったと思われます。

というわけで、「冥王星と同じ軌道上に他の天体が無い」というのが、冥王星の惑星たる理由となっていました。しかし1992年、冥王星よりも外側に軌道を持つ小天体が見つかって以来、冥王星に似た軌道を持つ天体が次々と見つかってきます。1999年には、冥王星を小惑星の一つとして数えるのが妥当なのではないか、という案も出ています。しかし、小惑星としては冥王星は大きすぎる、というような理由により、結局どう扱えば適切なのか、という結論は出ませんでした。

それ以来、天文学的には「惑星とは考えられないが、小惑星とも言い切れない」という中途半端な見解が続くこととなります。見つかった小惑星に、セレスを越える大きさのものが無かった、ということもあります。

しかし2000年、セレスに匹敵する大きさの小惑星が、冥王星の軌道付近で見つかります。そして2002年にはセレスよりも大きいクワオアーが、2003年にはさらに大きいセドナが発見され、そして遂に2005年には、冥王星よりも大きい「小惑星」であるエリス(2003 UB313)が見つかってしまいます。

さて、ここで一度おさらいしてみます。

冥王星が惑星だった理由は、「セレスのような、同じ軌道に他の小惑星を持つものではない」であり、小惑星ではない理由としては、「小惑星としては大きすぎる」でした。

しかし、同じような軌道を持つ小惑星が見つかった上に、冥王星よりも大きい小惑星が登場してしまうと、冥王星を惑星扱いすることは、学術的に矛盾をはらんでしまうこととなるのです。これが、先日の決議を必要とした直接的きっかけとなりました。

結果として冥王星、セレス、エリスの三つには、新呼称「dwarf planet(日本名未定)」が与えられ、惑星でも小惑星でもないものとして扱われることとなりました。しかしまだ、小惑星とdwarf planetとの境目は、明確には決まっていません。今後の定義づけ次第では、dwarf planetが増える可能性もあるでしょう。現時点もすでに、あと12個の候補が挙がっていて、審査待ちの状態のようです。

今や、小惑星と一口に言っても様々なものが見つかっています。衛星を持つ小惑星だっていくつもあります。セドナのように、一周が10500年かかるような、広大な公転軌道(冥王星は248年)を持つものもあれば、馬蹄形の軌道(普通は楕円軌道)を持つものだってあります。これらの分類は、今後の課題となるでしょう。

さて、冥王星の疑惑が本格的に登場したのは1999年。対して、惑星占いが流行したのはその後のことのはずです。占いでいい加減なことを吹聴している連中は、要するにその程度の奴らってことですよ。ギャハハハハ。

さあ、今日も占いを見て頑張ろう!

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  



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