茨城県下妻市の学塾ヴィッセンブルクは少人数制で質の高い授業で上を目指す学習塾です。

コース紹介

トップページ

学塾ヴィッセンブルクについて

外観写真

住所
〒304-0067
茨城県下妻市下妻乙1277-6
電話・FAX
0296-43-2615
アクセス

お問い合わせ

  • 生徒募集中!!

2015.08.29  あすなろ166 虫の声の聞こえ方?

2015.08号

最近聞いた話。

虫の鳴き声を聞くとき、日本人はそれを「言語」として聞くが、西洋人は「雑音」としか聞かないし聞こえない、とかなんとか。それは脳の働きが違うとか。

んん~~?脳だとお?ホントかそれ??

どうも私は、そういう「科学っぽい用語の入ったもっともらしい話」からは、エセ科学臭さを感じてしまうのです。

まずは、原文に近いと思われる物を一部引用してみます。(何カ所か中略しています)


東京医科歯科大学の角田忠信教授がキューバで開かれた国際学会に参加した時の事である。教授は会場を覆う激しい「虫の音」に気をとられていた。なるほど暑い国だな、と感心して、周囲の人に何という虫かと尋ねてみたが、だれも何も聞こえないという。ようやくパーティが終わって、キューバ人の若い男女二人と帰途についたが、静かな夜道には、さきほどよりももっと激しく虫の音が聞こえる。教授が何度も虫の鳴く草むらを指して示しても、二人は立ち止まって真剣に聴き入るのだが、何も聞こえないようだ。3日目になってようやく男性は虫の音に気づくようになった。しかし、それ以上の感心は示さなかった。女性の方は、ついに一週間しても分からないままで終わった。


ここまでの話に限れば、私なりには一応納得いく話ではあります。

確かに平均的西洋人は、日本人のようには虫の声に興味を持ちません。というよりそもそも、害虫以外に興味がありません。そのため、例えば明治期に来日したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、日本では虫が売られていて、人々は虫の音を楽しむという行為を、日本独特の文化として紹介しています。

(小泉八雲は、明治期に日本で見聞きした文化を英文で書いたイギリス人です。日本人女性と結婚して日本に帰化しました。代表作に「怪談」など)

西洋人が伝統的に虫に対して興味が浅い証拠としては、虫を表す語が単調であることからも推測できます。

日本語の虫の名前には、○○ムシになるものと○○ムシにならないものがあります。例えば前者はカブトムシ、カメムシ、スズムシなどで、後者はハチ、ハエ、トンボなどです。英語の場合は、このムシにあたる言葉がバグbug=歩く虫、ワームworm=いも虫、フライfly=飛ぶ虫あたりなのですが、虫の名前を英訳すると、日本語よりも明らかに、○○バグか○○フライになる場合が多いです。

もちろん、アリant、ハチbee、コオロギcricketなどの言葉もあります。しかし、バッタは「草跳びgrasshopper」でミミズは「地面イモムシearthworm」というように「熟語」になっていたり、ムカデCentipedeはラテン語そのものだったりしますので、日本語よりも比較的新しい単語が多いことがわかります。ただし、日本でもチョウ(蝶)のように漢語から来ている「外来語」もあります。

また、キリギリスやカゲロウなど、日本語に相当する英語がないこともあります。さらには、セミcicadaが鳴くことはあっても、その辺のアメリカ人はセミという単語を知らなかったりします。日本のように、映画やテレビで蝉の鳴き声を「夏の効果音」として使うこともありません。

西洋というのはそんな文化ですので、わざわざ虫の声なんぞを聞こうという意識は、最初からない、と言われても、全く不思議ではありません。

さらに、虫の声というものは、ものによっては音の高さ(周波数)の関係で人や鳥、犬、猫などの声と比べると「異質な音」となる場合がありますので、ものによっては、聞こうという意識がないと聞こえません

人間は、聞く必要のない音は、無意識下に遮断することがあります。雨の音やエアコンの風の音、時計のチクタク音などは、ふと気付くと音が消えていたような錯覚に陥ることがあります。虫の声というものを、普段からこのような「雑音」として捉えていると、「聞こえるけど聞こえない」ということになる可能性も、確かにあります。

しかし日本人の場合は、セミにせよコオロギにせよ、「虫の声を季節として捉える」という文化がありますので、子供の頃からそういう音を意識して聞く習慣があります。しかも、「鈴虫はリーンリーン、松虫はチンチロリン」と、音を日本語に「翻訳」しているために、雑音ではなく言葉として捉えやすいのだろうと思います。

その上、虫の声は先に述べたとおり、周波数が特殊な場合があります。

音の高さを周波数で表すと、人間の耳の可聴域は、2020000Hz(数字が大きい方が高音)ということになっています。

しかし、人間の出せる声は4001000Hzが限界です。また、ピアノの音は27.54186Hzで、これが音楽として使われる音の最大範囲(ピアノの音域を超える楽器はトライアングルとシンバルくらい)ですので、これよりも高い音や低い音は、普通の人にとっては「聞く必要の無い音」とも言えます。

ところが、キリギリス類の声は、10000Hzを超えるものがゴロゴロいます。16000Hzというのもいますが、このくらいになってくると、人間に聞こえる限界に近い音です。例えばクビキリギスの鳴き声は「ジ――」というように聞こえながらも、耳がツーンとなるような感じがします。実は、この「ツーン」が、本来の鳴き声なのです。

最近は、「モスキート音」という言葉がありまして、「人間の聞こえる限界近い高音で、若者には聞こえるけどオトナには聞こえないという音」のことを言うようですが、要するにそんな音の高さです。ただし、本当の蚊(モスキート)の羽音は350600Hzしかありません)

さらに、バッタ類のように、シャカシャカという「かすれ声」のような音質で鳴くものもいます。このような音になってくると、「虫の声が聞こえるはずの日本人(笑)」でも、「今鳴いてるね」「え?わかんない」という会話になることがあります。秋の虫の声をある程度勉強した私でも、色々な声が混ざっているときには、聞きたい音に合わせて意識的に「耳のチャンネル切り替え」をしないと、目的の音を聞き出せないこともあります。

というわけですので、まあここまでは良しとします。しかし......


左右の耳に同時に違ったメロディーを流して、その後で、どちらのメロディーを聴きとれたかを調べると、常に左耳から聴いた方がよく認識されている事が分かる。同様に、違う言葉を左右から同時に聴かせると、右耳、すなわち左脳の方がよく認識する。


これはない(笑)

「三角法」という、鳴く虫の位置を耳で聞きながら特定する手法があるのですが、左右で聞こえ方が違ったら、虫は探せませんね。

というわけで、私の中ではエセ科学決定となりました。あー残念残念。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  




一覧に戻る

ページの先頭へ