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2015.12.06  あすなろ115 原子力(過去記事)

2011.05号

今、福島は世界の「Fukushima」へ。

......なんて冗談言っている場合じゃないのですが、
世界的には実際に、超有名な地名になってしまいましたね。

原子力発電所の仕組みは、
原子力によって湯を沸かして、その蒸気でタービンを回して、
......というあたりまでは知っていたのですが、
私もその仕組みを完全には理解していませんでした。
この機会に調べてみましたので、
わかったことをここに書き上げてみようと思います。

まず、電気を起こす方法から。

中二で習いますが、モーターを回すと電気が起きます。
電磁誘導というやつですね。
これが発電機の原理です。
つまり、何らかの方法で発電機を回すことができれば、電気が作れるということです。

これを風車で回しているのが風力発電です。
水車で回せば水力発電となります。
火力発電と原子力発電は、熱で湯を沸かして、
その蒸気の力でタービンと呼ばれる羽を回しています。
太陽光発電に限ってはは少し違うのですが、それ以外は、
基本はだいたい同じ仕組みで発電されています。

それでは、原子力はどういう原理で熱を出すのか。
少々細かい話になります。

全ての物質は、原子が集まってできています。
その原子にはいろいろな種類があって、水素とか酸素とか鉄とかあるわけですね。

原子には、中心に原子核というものがあります。
そしてこの中には、一定の重さの、二種類の粒が何個かずつ入っています。
片方は、陽子(ようし)という名前で、プラスの電気を帯びています。
もう一方は中性子(ちゅうせいし)と言って、電気は帯びていない単なる粒です。
そして、このうち陽子が入っている数によって、原子の種類がきまります。

陽子と中性子の数は、例えば酸素はそれぞれ八個ずつ入っていますので、
合わせて一六個分の重さがあります。
これが鉄になると、それぞれ26個と30個入っていますので、
合わせて56の重さになります。

そんな種類の中に、ウランという金属があります。
自然界にある中で、大きさあたりの重さが一番ある物質です。
これになると、原子核には陽子が92個、中性子が146個も入っていて、
合わせて238個もの粒が入っています。
そして、ここまでのものになってくると、時々原子核が壊れます。
そしてその時に、エネルギーを出すことがあります。
その壊れ方・エネルギーの放出具合をうまく制御して、
一定の熱を発生させるのが、原子力という仕組みです。

ウランの原子核は、ほうって置いても勝手に壊れるのですが、
それだけでは湯を沸かすようなエネルギーになってくれません。
そこで、ウランの中でも、壊れやすい状態のものを、沢山集めることから始めます。

実は、同じウランでも、たまーに中性子が143個のもの(ウラン235)があります。
そしてこちらは、146個のもの(ウラン238)よりも不安定で、
壊れやすい=つまり、エネルギーを取り出しやすい状態になっています。
そこで、この割合を増やしたものを作ります。
これが核燃料と呼ばれるものです。
具体的には、天然では0.72%しか存在しないものを集めて、
3~5%程度まで濃度を上げた(濃縮された)物が使われます。
一方、これが核兵器になると、90%以上まで濃縮されたものが使われます。

そして、集めたウラン235に、ある一定速度で中性子をぶつけます。
すると中性子を取り込んでさらに不安定になったウラン236の原子核は、
壊れて2つに分裂してしまいます。
この時、ただ分裂するだけではなくて、2~3個の中性子を放出します。
放出された中性子は、また別のウランを分裂させて
......といった反応が、次々と起こります。

原子核は、壊れるたびに大量のエネルギーを放出します。
従って、この反応が連鎖的に次々と起こっていくと、
ものすごい熱を出し続けることになります。
この連鎖反応が、上手くつながった状態が「臨界(りんかい)」と呼ばれるものです。

115-1.png

こういった核分裂反応は、勝手に反応が続いていってしまうので、
放置するととんでもない熱量を発生してしまいます。
そこで、これを一定の状態に保つように調整する必要があります。
その手段が、吸収と冷却です。

冷却は、文字通り冷やすことです。
熱を持ちすぎると、固体の核燃料が溶け出してしまって、周囲の炉を侵します。
そうすると、中身が漏れ出てしまうことになりますので、
それを防ぐために、日本の原子炉では主に水で冷やします。
これを軽水炉と呼びます。

また、飛び散る中性子を吸収すれば、それ以上の連鎖反応は起こりません。
そこで、核燃料は、普段は中性子を吸収する物質で包まれています。
原子炉の中で反応を進めるときには、この制御物質(制御棒)を少しずつ抜いて、
出力を調整します。

ところで、分裂で飛び散る中性子は、かなりの速度が出ています。
しかしその速度では、核分裂の効率があまりよくありません。
そこで、中性子の速度を下げるための減速材として、
日本の原発では水が使われています。
もちろん、中性子が外に逃げていってもまた効率が下がりますので、
原子炉の内壁は、中性子を反射するもので覆われています。

それでも、実際に発生する温度は2000度前後まで達し、
そのままでは扱い切れません。
そこで、大量の水を循環させることで、現実的な数百度にまで下げて使っています。
ですから、実はかなりのエネルギーが、まだ有効利用できていません。
今後の課題でしょう。

原子力機関はこれだけのパワーを持っているので、石油内燃機関に比べると、
非常に小さい燃料で、大きな力を出せます。
しかも、一度燃料を装填すると、数ヶ月単位で、燃料の補充が必要ありません。

そういった利点から、小型の原子力機関が航空母艦(空母)にも使われています。
空母は、大きい物だと5000人の乗員と100機弱の戦闘機を積んで、
何ヶ月も寄港せずに行動するため、
燃料が少なくて済むというのは、かなりのメリットとなります。
また、エンジンとして動かすときに空気(酸素)が不要であるという点から、
一部の潜水艦にも原子力エンジンが使われています。
同じ理由で、宇宙空間でも使われることがあります。

原子力は、まだ多くの可能性があるシステムであることを、一応述べておきます。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  


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