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2016.03.31  あすなろ138 ネコヤナギ(過去記事)

2013.04号

塾の前のネコヤナギが満開です。

......と言うと、不思議そうな顔をする人がいるのですが、
ネコヤナギも花が咲きます。
あの「ふわふわしっぽ」が花なのです。

「花らしくない花」といえば、他にはススキやトウモロコシ、マツなどがあります。

138-1.png

我々が花といえば普通、目立つ色の花びらのついたものを想像しますので、
花びらが無いと、どうも花らしく感じません。
しかし、「花とは受粉を目的とする器官である」という定義からすれば、
花びらが無くても、おしべ、めしべがあれば花なのです。

そもそも、花びらというのは何の為にあるのか、その目的は二つです。

一つは、虫から見て花の存在がよくわかること。
もう一つは、虫が花に寄ったときに足場になること。
つまり、虫に花粉を運ばせやすくする為なのです。

虫に花粉を運ばせる花のことを、虫媒花(ちゅうばいか)といいます。
それに対して、花粉を風に運ばせる花を風媒花(ふうばいか)といいます。
日本にはほとんどありませんが、鳥媒花というものもあります。

先に写真をあげた四種の花は、全て風媒花です。
ですから、虫に対して存在をアピールする必要がありませんので、
花びらは必要ないのです。風媒花には他にもスギ、イネなどがあります。

さて、ネコヤナギにも花びらがありません。
ですから、私も少し前まで、ネコヤナギも風媒花かと思っていたのですが、
違いました。
ネコヤナギは、虫媒花です。

今年の春、塾の前にて、初めてそれを意識して観察しました。
ちゃんと虫が寄ってきていました。
見る限りでは、ハナバチが三種類ほど来ていました。

ネコヤナギの「ふわふわ」は、沢山の花が集まったものです。
こういう形状の花は、一般に花穂(かすい)と呼ばれています。

花穂という言葉は、厳密には植物学用語では無いのですが、
いわゆる穂となる花の総称として使われています。
先に挙げたススキやイネの他にも、ケイトウの花も花穂と呼ばれるそうです。

それはともかく、花びらが無い花は、いつ花が「開いた」のか、
わかりにくいのが困ったものです。
私がこれまでネコヤナギに虫が来ているところを見なかったのは、一つには、
「花が咲いている状態」を正確に把握していなかった、という理由がありました。

春になると、まず銀の穂が現れてきますが、あれはまだ「つぼみ」だったのです。
つぼみを眺めていても、虫が来ないわけです。

138-2.png

その後、気温が上がってきますと、ふわふわの毛の中から、
赤いつぶつぶが立ち上がってきます。
これが葯(やく)で、これが開くと中から黄色い花粉が現れます。
葯が開いた状態を「開花」と解釈すべきなのでしょう。
実際、このように黄色くなった花めがけて虫が寄ってきています。

138-3.png

画像の、赤い部分が開く前の葯、黄色い部分が開いた葯です。

面白いことに、花穂の中で開花する順序は、特に決まっていないようです。
一般的な花の場合、大抵は先端からとか根元からとかいう順序で開花されていくのですが、
ネコヤナギの場合は、どうやら南側から順に開いていくようです。
開花のきっかけは、温度なのか明るさなのかはよくわかりません。

ネコヤナギの開花時期は、他の春の花よりも相当早めです。
このころは、他にはほとんど花が咲いていません。
ですからおそらく、花びらを用意しなくても、花粉の黄色を見せるだけで、
冬の間飢えていた昆虫が集まってくるのでしょう。
ライバル不在だからこそできるワザだと言えます。

今、葯と花粉の話ばかりをしたのですが、塾のネコヤナギはオスの木ですので、
雌花は咲きません。
ヤナギの仲間は雌雄異株(しゆういしゅ)と言って、オスの木とメスの木があります。
雄花の開花後は、花穂全部が丸ごと枝から取れて「散」り、実はできません。

ネコヤナギ以外のヤナギ類も、同じように花穂ができます。
もちろん、メスの木には実ができます。
種子には綿毛がついていて、風に吹かれて飛びます。

ヤナギの種子は柳絮(りゅうじょ)と呼ばれて、
漢詩にはたびたび登場する言葉なのだそうです。
私は全く知りませんでした。

中国大陸においては、柳絮の綿毛が日本産のものよりも多い上に、
ヤナギの木自体が多いので、春になるとすごい数の柳絮が飛ぶようです。
それが目や鼻に入って来るので呼吸するのも困難で、毎年大変らしいです。

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彼の国では、春は季節風やら黄砂やら柳絮やらで、あんまり良い季節じゃないそうです。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  


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