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2016.09.03  あすなろ178 蟲のこゑ

2016.08号

今年も七月になった頃から、ニイニイゼミが鳴き始めました。そろそろそんな季節です。

セミの声は、おおよそ今がシーズン開始となるわけですが、キリギリスコオロギ類においては、すでに春先からシーズン入りしています。が、ここであんまり細かい話をしても誰もついてこないと思いますので、もっと基礎知識のお話をします。

唱歌「虫のこえ」はご存じかと思います。いわゆる秋の虫の声は、この歌によって知った方も多いと思います。というかほとんどの方がこれで覚えたのではないかと思っていますので、これに沿って話をしていきます。

とりあえず、歌詞の確認です。


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初出は一九一〇年です。この歌詞で「きりぎりす」だった部分は、一九三二年には「こほろぎや」に改められています。

さて、ここに色々な虫の名前が登場したのですが、それぞれの姿を想像できますか?

最初に登場する「松蟲」ことマツムシは、こんな昆虫です。


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鳴き声は「ちんちろりん」とありまして、図鑑でも大抵はそうなっていますが、実際に聞くと「ピッピリリッ」というような声です。音が鋭いために、ちょっと電子音っぽい感じがするかもしれません。筑波周辺でも鳴き声は確認しましたが、草深い所にいますので、姿を見る機会は滅多にないかもしれません。

次の「鈴蟲」ことスズムシは有名ですね。時には生体が店頭販売もされています。


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鳴き声は「りいんりん」は、図鑑でも「リーン リーン」となっています。実際に飼うとそんな声で鳴くのですが、野外では「リリリリリ リリリリリ」と鳴いていることの方が多いと思います。これは「呼び鳴き」というもので、単独ではこちらが普通の鳴き方です。対して前者の「口説き鳴き」は、メスが近くにいるときだけ使われます。飼育下では、オスもメスも高密度でいますので、口説き鳴きばかりになってしまっているだけです。

次の「きりぎりす」改め「こほろぎ」は、一度は見たことはあると思います。


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ただ、コオロギの種類はかなりありますので、今回は代表としてエンマコオロギを上げてみました。よく見かける中では一番大きい種類です。これの鳴き方は、図鑑上で「コロコロリー」と聞きなされています。実音では、「コロコロ」の部分が、歌詞のように「きりきり」に聞こえなくもないです。他に、よく耳にするツヅレサセコオロギやハラオカメコオロギあたりだとしても、「リーリー」や「リッリッリッ」が「きりきり」と聞けなくもないですから、「こほろぎ」の鳴き声としては、おおよそ間違っていないでしょう。

次は「くつわ蟲」ことクツワムシです。

歌の通り、鳴き声はガチャガチャです。シャカシャカともシャキシャキとも聞こえます。もしかしたらモーターのような機械音っぽく聞こえるかもしれません。音量はかなり大きめですので、一度でも聞けばすぐにわかります。雑木林の周辺などの深い草むらあたりでよく聞かれます。

「馬おひ」ことウマオイは、別名がスイッチョンと言われる通り、「スイーッチョ」または「シーッチョ」を涼やかに繰り返して鳴き続けます。これも深い草むらにいます。

クツワムシとウマオイは、キリギリスの仲間です。先に紹介した三種はコオロギの仲間で、翅(はね)を立てて鳴くのですが、この二種は鳴くときも翅は立てません。


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一方、途中で消えてしまったキリギリスは、「ギーーッ ・・・ チョン」と鳴きます。


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さて、歌詞が「きりぎりす」から「こほろぎ」に改められた理由は、「昔はキリギリスとコオロギの呼び名は逆だったから」「キリキリという鳴き声は今で言うところのコオロギだから」と書いてあるのを見かけます。

しかし私としては、別の理由もあるように思えます。それは、キリギリスは「あーきのよながをなきとお」さない、真夏の昼間に鳴く虫だからです。夜に鳴くこともあるそうですが、普通は暗くなったら静まりますし、十月になったら既にいません。夏の日差しの中、セミの声をバックに鳴くような虫です。

しかし、子供向けの本では「秋の虫」にキリギリスが入っていることがあります。時折あります。残念ですがハズレでーす。でーす。

学塾ヴィッセンブルク 朝倉  




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