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HOME雑記帳(あすなろ)あすなろ136 ポンチョ(過去記事)
2013.02号
娘の着る服を、ほとんど父親が選んでいるという家庭があるらしいですが、そんな父親がこんな所にいます。
どうもこんにちは。
だって朝、服を選んで着替えさせているのは俺だし。
私の趣味に合わない服を貰うこともあるのですが、朝、私が出さなければ、結局ほとんど着ないことになっちゃうわけですから。
そんなわけでここ3~4年は、女性のファッションと、その流行にずっと興味を持っています。
キモいよねホント。
俺もそう思う。
そんなキモおじさんによると、今年はポンチョ(あれってケープじゃないからね)を着ている女性が特に多いようです。
何年か前から少しずつ流行していましたが、この冬は、これまでになく見かけるようになりました。
流行のピークが近づいた感があります。
ご存じの方も多いかと思いますが、ポンチョは、中南米の民族衣装に由来します。
中南米といえば、メキシコとか、ペルーとか、アンデスとか、メキシカンハットとかウクレレとか、チャランゴとかケーナとかフォルクローレとかコンドルは飛んでいくとか、あのあたりを想像していただければ、と思います。
形状についての説明は省きますが、簡単に言うと貫頭衣(かんとうい)の一種です。
貫頭衣とは、布に穴を空けて、頭から被る服のことです。
日本でも、弥生時代は貫頭衣を着ていたとされています。
ポンチョの場合は、かつては革製だったそうです。
それが後に毛織物となって、現在に至ります。
「本物のポンチョ」の生地の大きさは3.6m×2.4mもあるらしいです。
最近よく見るショールサイズのものとは違って、相当大きいようですね。
地面に座り込むと、足を覆うことができるのだとか。
ただ、ポンチョといえば、私にとってのイメージは、民族衣装以外にもあと2つあります。
1つはレインポンチョ、もう1つは迷彩ポンチョです。
名前からおわかりの通り、レインポンチョは雨具、迷彩ポンチョは軍用品なのですが、この2つには深い関係があります。
アメリカ南北戦争の時、軍から兵隊にポンチョが支給されました。
これは、ゴム引きの防水布でできていて、雨具兼「寝るときのシート」として使われたそうです。
その後、アメリカ軍に採用されたポンチョは、米比戦争(1900年頃、アメリカがフィリピンを侵略、制圧した戦争)のころには改良されてハイネックが付きます。
第一次世界大戦の時は、背嚢を雨から守ったり、広げて屋根として使われたということです。
(この辺り、元資料が英文なので、もしかしたら少しズレた解釈をしているかもしれません)
さらに第二次世界大戦(WW2)の頃から、迷彩模様のものが採用されています。
そしてWW2後には材質がナイロンとなり、現在の米軍でも使われています。
雨具以外としても、野外における隠れ家(shelter)となります。
また資料によると、ハンティング、キャンプ、救助作業にも使われています、とあります。
また別の資料によれば、軍用ポンチョには内張がボタンでとめてあって、外せば毛布としても使えるのだそうです。
上の図以上に本格的なテントも作れるようになっているとのことです。
テントになるポンチョは、WW2のドイツ軍で初めて使われました。
4人で4枚合わせるとテントになるように、ポンチョを三角形にしてあります。
この形状のポンチョは、今でもドイツ軍に採用されています。
また、このポンチョは「お手軽迷彩服」としても愛用されていたようです。
当時のドイツ陸軍の軍服は、緑一色のものでした。
大戦後期には迷彩服の生産も始まるのですが、生産が間に合わなかったために、多くの部隊には行き届きませんでした。
ですから、上からポンチョを被ることで間に合わせていたようです。
そういうわけで、ドイツ兵がポンチョを来た写真は、これまでにもさんざん見ていました。
しかし、アメリカ兵の写真で、ポンチョ姿なんて見たことがありません。
ですから、今回調べるまで、WW2のアメリカ軍にポンチョがあったなんて知りませんでした。
そこで、ネットをさんざんひっくり返してみたら、その理由っぽい写真が見つかりました。
WW2アメリカ海兵隊の写真です。
わかりにくいですが、背中に背負う装備を包んでいる迷彩柄の布がポンチョです。
確かにこんな写真ならば何度も見ましたが、まさかあれがポンチョだとは思いませんでした。
そんなわけで、軍用ポンチョ最高という結論が出てしまいましたが、残念ながら、おしゃれに着こなすのは困難に思われます。
でも「この上着、テントにも毛布にもなるんだぜ」とか言っちゃうと、小中学生男子は飛びついてくるだろうなあ。
ほぼ間違いなく。
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義