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2013.01号
天文年鑑などによると、来年(2013年)は彗星の当たり年なのだそうです。
っていう話をしていたら、彗星って何?と質問をする中学3年生が……
確かに、彗星のことは、学校の理科ではちゃんとは習いませんよね。
ここで説明いたします。
彗星というのは旧海軍の艦攻の名前です。ん? 艦爆だったかな? まあともかく、コンパクトな機体に液冷エンジンの組み合わせで、超萌えるルックスをしています。ちょうど、スピットファイアみたいな感じでしょうか。いや、スピッツみたいなダサい主翼じゃないから全然違いますね。でも後の型になってくると、三二型からかな?発動機の生産が間に合わなくなってきて、星形空冷エンジンになっちゃうんですよね。液冷エンジンは、壊れるだのなんだの言われることもありますが、実際は、現場の整備兵が空冷慣れしていたために、整備が不十分だったなんてこともあったみたいですね。あと彗星といえば、単機で空母を一隻沈めたという、伝説のレイテ沖の話は欠かせませんよね。
今のは無し。
彗星は、太陽系の中にある星の一つです。
ほうき星とも呼ばれて、長く尾を引く姿を見せるのが特徴です。
そもそも太陽系とは何かというと、太陽という星と、太陽を中心として回っている物体のあつまりを合わせたものです。
ですから、金星、土星、地球などの惑星以外でも、太陽の周りを回っているのはみんな太陽系の一部です。
惑星よりも小さい岩も、すごい数の物体が、太陽を中心として回っています。
今、太陽を「中心」とすると書きました。
確かに惑星は、太陽を中心とする円を描いているように見えます。
しかし、厳密には、惑星の軌道は真円ではなく、楕円となっています。
(→ケプラーの第一法則)
楕円というのは、焦点と呼ばれる「中心」を二つ持つ図形です。
高校で、理系に言ったら数学C(現課程では数学III)で習うことになると思いますが、次に示すような図形です。
そして惑星は、楕円の焦点の片方を太陽とした軌道を描いています。
地球の周りを回る月も、同様に楕円軌道です。
地球も太陽の周りを楕円で回っていますので、太陽と地球との距離は、一定ではありません。
ですが、その焦点が近いので、円のように見えるだけなのです。
また、焦点の距離は、惑星によって違っています。
地球は焦点の距離が短い=離心率が低いので、比較的真円に近いのですが、離心率が非常に高くて、太陽じゃない方の焦点が遙か彼方にある天体もあります。
周回している彗星は、そんな天体の一つです。
と、そこまで書いておいてアレですが、本当はこの下図のように、楕円以外の軌道を描く彗星もあります。
というより、大抵の彗星は、楕円以外の軌道を描いています。
そしてそういう彗星は、二度と帰ってきません。
楕円軌道で帰ってくる彗星を周期彗星、帰ってこないのを非周期彗星と呼びます。
彗星の正体は、よく「汚れた雪玉」とか「凍った泥団子」などと言われる通り、塵と氷でできています。
それが太陽に近づくと、太陽の熱で解凍された液体や気体が噴き出してきます。
それが太陽熱にあおられて、太陽と反対側へ流されていきます。
それが、彗星の尾です。
ですから、彗星の尾は必ず、太陽と反対方向に伸びます。(上図参照)
そういうわけで、彗星はいろいろな粒をまき散らしながら通過していきます。
ですから、その通った跡には、沢山の塵が、彗星と同じ軌道を、帯のように漂っています。
(→ダストトレイル)
その帯に地球がつっこむと、地球にはその塵が降ってくることになります。
降ってきた塵は、大気圏に突入する際に輝きながら燃え尽きて、流れ星となって見えます。
こうやって、たくさんの流れ星が見える現象を、流星群と呼びます。
毎年お盆のころに見られるペルセウス座流星群は、2013年は、月の条件が良いようです。
うまくいけば一時間に50以上の流れ星が見られるでしょう。
で、2013年の彗星の件ですが。
話題になっているのは、主に二つです。
一つは、三月~五月ごろに近づくパンスターズ彗星です。
これは、うまくいけば三月半ばごろの日没直後の地平線付近に、マイナス3等級の明るさで見られるでしょう。
それを過ぎてからでも、四月上旬まで肉眼で十分見える明るさを保つようです。
星は、明るい順に1等星、2等星……と分類されています。
例えば、オリオン座のワクを構成する4つの星のうち、左上と右下が1等星で、右上と左下は2等星です。
そうやって明るい星は数値を減らしていくと、明るい星はマイナスの等級となります。
次の表と比べて頂けるとわかりますが、マイナス3等級なら、かなり明るく見えることだと思います。
もう一つは、11月ごろに近づくISON(アイソン)彗星です。
こちらは明け方の空の、やはり地平線付近で見られるとされていますが、最大光度でマイナス13.5という予測が出ています。
満月より明るい彗星!
さあ、すごいことになってきました。
ただ、注意点があります。
一つには、このころは、地平線付近という高度と、ちょうど夜明けごろという時間帯のために、日本からはあまりよく見えないだろう、ということです。
もう一つは、予測はあくまで予測であって、どの程度明るくなるかはその時になってみないとわからない、ということです。
特に今回の彗星は、太陽に非常に接近する為に、そのまま蒸発したり分解したりする可能性もあります。
こうなったら、日本では観測できない状態になってしまいます。
過去にも、大彗星になると予測されたコホーテク彗星が、実際には3等級程度までしかいかなかった、ということもありました。
非周期天体の予測は、まだ難しいようです。
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義
追記
その後のISON彗星は、太陽に接近する前に割れてしまって、小さい彗星となってしまったために、特に世間の話題にはなりませんでした。