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あすなろ番外編 記号「ヶ」「ヵ」について

2018年9月10日投稿

あるとき生徒から、「3ヶ月」「戦場ヶ原」の「ヶ」について、
これは何がどうなっているのかという質問がありました。
 
そこで、ちょっと調べてみまして、まとめた内容が以下です。
 
自分としても興味深い内容でしたので、公開してみます。
 
 
なお、こちらの記事は、質問者本人には渡しましたが、月謝袋では公開しておりません。

 


 

記号「ヶ」について

 

1.

元々チャイナでは、物を数える単位として
「箇」が用いられていた。
 
これは日本語の1個2個の「個」にあたる。
 
読み方は「カ」「コ」。

 

2.

漢の時代の頃から、「箇」の省略形として
「个」が用いられるようになった。
 
読み方・使い方は「箇」と同じ。
 
「个」は、漢和辞典にも掲載されているれっきとした漢字。

 

3.

「个」が日本に伝わったのち、
恐らく片仮名の「ケ」と形が似ているからという理由で、
「箇」「個」を使う場面で、
「个」の代わりに「ヶ」が用いられるようになったと思われる。

(広辞苑より)
 
→例:数ヶ月(すうかげつ) 十ヶ入り(じっこいり) 三ヶ日(みっかび:地名)
 
→助動詞「ます」の代わりとして「 」を使うのと同じノリだと思われる。『氷あり


今でも「マス」として使われる「記号」(≑絵文字?)


4.

さらに、「我が家」「君が代」のような「~の」を意味する「が」が、
地名として用いられる際に、
おそらく発音が共通だという理由から、
当て字として「ヶ」が使われるようになったと考えられる。
 
江戸時代までは、
濁音と清音は同じ表記をされることが多かったことも、
この一因ではないかと思われる。

(この由来については調べても見つからないので、これについては朝倉による推測)
 
→例:戦場ヶ原 関ヶ原 鶴ヶ峰

 
 
 
というわけで、結論。


 

・「ヵ」と「ヶ」は元々は同じ「箇」で、読み方は「カ」「コ」。
 
・さらに転じて「ガ」と読まれるようにもなった。

 


 

こんなところでしょうか。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義