2024年7月

@will対応教科2024

あすなろ

高校生向け@willの、教科一覧です。
実際には、本人とご相談の上、
お勧めをご提案することになると思います。
 
表中の「講数」は、ビデオクリップの数です。
1本につき15~20分程度です。
 
@willの詳細は、
こちらをご覧ください。
 

あすなろ46 夏の夜空

あすなろ

 
 
 
2005年08月号
 
 
 
今年の七夕も雨でした。
 
 
 
私は確か小中学生の頃、
七夕が雨がちなのは
 
「織り姫と彦星のデートを隠すため」
 
などと云う話を
どっかで読んだような気がするのですが、
今となっては
 
「大人ってのは、
 こうやって子供をだますんだなあ」
 
などと感慨深くもあったり。
 
 
 
いや、だってですね、
毎年雨なのは当たり前なんですよ。
 
梅雨の真っ最中ですから。
 
 
 
じゃあなんでこういう時期に
星を見るようなイベントが
古来あるのかと云うと、
その答えは実に単純。
 
 
 
昔の七夕は、
梅雨じゃなかったからです。
 
 
 
ここで云う「昔」というのは、
太陰暦を使っていた
明治以前のことです。
 
要するに、今で云うところの
「旧暦」を常用していた頃です。
 
 
 
旧暦には、
節句というものがあります。
 
季節の変わり目(節目・区切り)
のことです。
 
5月5日のことを
端午の節句と云いますよね。
 
アレのことです。
 
節句は、
1年に5回あるとされています。
 
 
 
そのうちの1つが、
七夕(しちせき)の節句です。
 
そして、旧暦の7月7日は、
今年(2005年)は
8月11日にあたります。
 
つまり、この日が
本来の七夕というわけです。
 
確認しておりませんが、
おそらく他の年も、
やはりこの頃に
旧七夕が来ると思われます。
 
 
 
旧暦の七夕は、
今で云うところの8月なわけですから、
当然梅雨は終わっています。
 
つまり、七夕は元々、
梅雨なんかじゃないって事です。
 
短冊を屋外に吊すお祭りですよ?
 
晴天が続いてこそできる
イベントでしょ。
 
 
 
こうやって考えると、
冒頭の
「七夕が雨になる理由」
ってのは、
旧暦と新暦の違いを知らないオトナが、
子供を小馬鹿にして吐いたデマカセだ
ということが良くわかります。
 
これを他山の石として、
適当なことは迂闊に云わないように、
我々も気をつけていかないと
いけませんね。
 
 
 
さて、
星をよい条件で観測するためには、
雲の具合はもちろん、
月齢も考慮に入れなければなりません。
 
 
 
月って、明るいんですよ。
 
 
 
月の夜は、星の観測には向きません。
 
明るめの星なら
見られないことはないですが、
天の川というのは
暗い(細かい)星の集まりですので、
月が出ていないことが
観測の必須条件となります。
 
 
 
ところで、旧暦のことは、
太陰暦とも呼ばれるわけですが、
この暦は、
月の満ち欠けを基準にして
日を決めていることはご存じでしょうか。
 
つまり、1日は月齢1で、
15日は月齢15の満月だということです。
 
だから、1ヶ月がだいたい30日
(=月齢の一周期)なんですよん♪
 
 
 
さてさて、以上からわかると思いますが、
旧暦の7月7日は、
毎年必ず月齢7に来ることになります。
 
月齢7とは、上弦の半月のこと。
 
太陽のあとを、
ちょうど90度=6時間遅れで
ついて行きます。
 
というわけなので、
ちょうど真夜中ごろ月没となって、
星を見るにも無理がありません。
 
本当の七夕は、
星空を眺めやすい頃に来るように、
ちゃんと決まっているというわけですね。
 
 
 
厳密には、
観測に一番向いているのは真冬です。
 
というのも、
夏は大気中の水分が冬に比べて多く、
星が瞬(またた)いてしまうからです。
 
逆に、冬の空の星は瞬かないので、
夏よりもクッキリと見えます。
 
何となくそんな気がしていませんでした?
 
 
 
ただし、
夏は軽装で気軽に
星を見ることができますので、
現実的には夏の方が
星を見るのに向いているともいえます。
 
 
 
旧七夕の季節には、
もう一つおまけがあります。
 
 
 
毎年この時期になると、
決まってやってくるのが
ペルセウス座流星群です。
 
年によって多少のずれはあるのですが、
だいたい8月の盆前後のころ、
そこそこの数の流れ星を
見ることができます。
 
 
 
ただし数年前、
しし座大流星群で見たような
すごい規模のイベントは、
さすがにそう滅多に
見られるものではありません。
(このクラスまでいくと、
 流星雨と呼ばれます)
 
この時には、
流星の数は多いときで、
1時間に300~500個と云われました。
 
 
 
しかし実は、
流星群と名の付くもの自体は、
毎年10回以上来ています。
 
ただ、ほとんどの流星群は、
その規模が小さいために、
あえて見るほどではないだけです。
 
極大時(流星の活動が一番活発な時間)
でも、
1時間に1個とか2個とかいう
規模のものもあります。
 
見るほどのもんじゃないでしょ?
 
 
 
で、
毎年恒例の流星群の中でも、
例年最も流星の数が多いのが、
先述した
夏のペルセウス座流星群なのです。
 
年によって上下はあるようですが、
例年だいたい、
極大期で1時間あたり50個超です。
 
流星雨には遠く及びませんが、
夜空を数分も眺めていれば、
1個ぐらいは流れ星を見ることができる
計算になります。
 
 
 
この極大期の日を逃しても、
前後一週間ぐらいは十分に
出現数があるので、
暗いところでしばらく仰向けになって
寝転んでいれば、
大抵流れ星は見られると思います。
 
お暇な方は、蚊の少ないところでどうぞ。
 
 
 
流星が多く観測できるのは、
本来は東の空から上ってくる
ペルセウス座周辺です。
 
しかし、
一般的に観測できるような場所では、
低い空は明るくなってしまうので、
天頂付近の方が
よく見られることの方が多いようです。
 
真上を見ましょう。
 
 
 
私、高校の頃は
天文気象部という所にもいたのですが、
やはり「ペルセ群」は
毎年恒例の観測イベントでした。
 
年によっては
月が邪魔する場合もあるのですが、
夏休みですし、
日程の都合はいくらでもつきます。
 
誰かの家に集まって、
夜中まで望遠鏡を覗いたりして、
時にはどこからか酒が出……
 
 
 
あ、
いや、
なつかしいなあというお話。
 
 
 
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義