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2020.09号
小5の授業中だったか、今後の地球について、話をしたことがあります。
今後の地球といえば、定番の地球温暖化を始めとして、色々とテーマはあるとは思います。
しかしその時に話したことは、それよりも、もうちょっとだけ未来のことです。
すごーく簡単に言うと……
あと50億年とか70億年とか経つと、太陽の直径が地球の軌道を超えますので、地球は確実に消滅します。
でも大丈夫です。
安心してください。
というのも、56億7000万年後には、弥勒菩薩(みろくぼさつ)が人類を救ってくださるからです。
――――という話をしたのですが、間違いに気づきました。
訂正します。
私の授業は、余談にあたる部分は、自分の知識と記憶に頼って勝手なことをしゃべっています。
ですから時に、テキトーなウソが混ざることがあるのです。
授業中には、
~その時が来たら、その辺を歩いている地蔵菩薩(じぞうぼさつ)が弥勒菩薩になって人類を救う~
なんて話をしてしまったと思います。
すみません。
大変な思い違いをしておりました。
地蔵菩薩は、弥勒菩薩が降臨するまでの間、六道を見守る役割なのだそうです。
弥勒菩薩が来るまでの間、地上に仏が不在になってしまうから、代わりに下りているのだそうで。
地蔵菩薩はあくまで、弥勒菩薩が不在の間の代理であって、同一の存在ではありませんでした。
どうやら間違って覚えていたようです。
どうもすみませんでした。
弥勒菩薩の半跏思惟像(はんかしゆいぞう)
どうやって人類を救うか考えている姿
なおこちらは、広隆寺の弥勒菩薩です。
有名です。
京都の太秦(うずまさ)というところ……映画村の近くにあります。
あ、ちなみに、「半跏思惟」の読み方は、「はんかしゆい」です。
「はんかしゅい」ではありません。
ヨハンシュトラウス一世(パパの方)の「ラデツキー行進曲」は、「ラデッキー行進曲」ではありません。
Radetzkyさんという人名から来ています。ラデツキーさんです。
ただ、キヤノンはキャノンではないのが正解ですが、こちらは昔の社名の表記上の問題ですので、どっちでもいいと思っています。
すんません。
どうでもいい話でした。
地蔵菩薩
一方で、地蔵菩薩です。
いわゆるお地蔵さんですね。
こちらも仏様なのですが、普通の仏様とはちょっと違って、僧侶の姿をしています。
これは、地上を見て回る時に、普通の人間に紛れるための、いわばカモフラージュをしているわけです。
ふとすれ違ったお坊さんが、実は地蔵菩薩だったという可能性もあるわけです。
盆の頃、スクーターに乗って袈裟をはためかせながら檀家に向かう坊さんが実は……
いやそれはないか。
弥勒菩薩も地蔵菩薩も、共に「菩薩」です。
この菩薩という名称は、仏の中の階級のような物です。
もっと上には、如来(にょらい)という存在があります。
如来で有名なのは、やはり釈迦如来(しゃかにょらい)でしょう。
これは名前の通り、お釈迦様ですね。
芥川龍之介に言われて、天国の蓮池から地獄に蜘蛛の糸を垂らした、あの人です。
中学では、仏教の始祖が「シャカ」であると歴史の時間に習うと思うのですが、まさにその名前です。
ただ厳密には、シャカという名称は人名ではありません。
菩提樹の元で悟りを開いたのは、インドのシャカ族の王子である、ガウタマ・シッダールタさんなのでした。
シャカというのは部族名です。
このガウタマ・シッダールタという名前は、毎年1回は中3に紹介しているのですが、誰も覚えてくれないようです。
まあ別に忘れてもいいですけど。
釈迦如来像
仏像としては、飾り気がないのが特徴
ともかく、このお釈迦様が含まれる如来が、仏の中では一番上のランクです。
他に有名どころの如来といえば、大日如来(だいにちにょらい)、薬師如来(やくしにょらい)、阿弥陀如来(あみだにょらい)あたりでしょうか。
って言っても、仏像に興味がないと、聞いたこともないかもしれませんね。
ただその中でも、阿弥陀様くらいは知っててもいいとは思います。
なんせ、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の阿弥陀なんですから。
「あみだくじ」「あみだ被り」という言葉にもなっています。
また、鎌倉の大仏は、阿弥陀如来です。
上:あみだ被り(あみだに被る) ;ベレーでは正解ですが、ヘルメットでは不正解です。
下の画像のような、昔の編み笠をこう被ったら仏様の後背のようになるから……ってあたりが由来でしょうか。
なお、奈良の大仏は「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」というのですが、あれは大日如来のことらしいです。
んじゃ次。
菩薩です。
前に上げた二つ以外でも、観音菩薩(かんのんぼさつ)くらいは知っていると思います。
いわゆる観音様ですよね。
観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)と書かれていることも多いですが、こっちが正式名称です。
観音菩薩も、阿弥陀如来と同様に、かなり文化的にも浸透している存在です。
地名をつけた「なんたら観音」というのは日本各地にありますし、色々な物が観音様に例えられています。
美しい女性とか。
そうそう。「ねんぴーかんのんりき」と繰り返すお経もありますよね。
また「観音開き」とは、両側に開く扉のことを指します。
恐らく、仏壇の扉から来ているのだと思います。
初期型クラウンが「観音」とか呼ばれているのはそういうことです。
トヨタクラウン初期型 通称「観音クラウン」
観音菩薩のバリエーションの中で、一番スタンダードなのは、聖観音(しょうかんのん)です。
これが「普通の観音様」です。
十一面観音(じゅういちめんかんのん)や千手観音(せんじゅかんのん)あたりも、見たことはあると思います。
この二つを合わせた十一面千手観音像は、見た目が派手なためか、全国各地で見かけることができます。
十一面千手観音
観音の名を持ちながら、ちょっと特殊なものとして、馬頭観音(ばとうかんのん)という怒りの形相をした観音もあります。
馬頭観音
頭上に馬の頭を持つ
私は学生の頃、この馬頭観音のことを、東北地方のおしら様(オシラサマ)と深い関係が
……というより混同していたのですが、全く由来は別のもののようです。
まあそのあたりは、若気の至りということで。
おしら様は、馬の姿をした養蚕の神。
現地では、棒に布を巻き付けた姿で、女性像と二体セットで祀られる。
馬と夫婦になった女性の伝承がある。
おしら様というと、もしかしたらジブリの某作品で見たという方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこちらは、ダイコンの化身だということです。
あっそ。ふーん。どうでもいいや。
もう一つ、馬頭といえば牛頭(ごず)と馬頭(めず)という、対になった鬼もいますが、あちらは地獄に勤務する鬼です。
観音菩薩以外の菩薩では、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)くらいは聞いたことがあるかもしれません。
「三人寄れば文殊の知恵」のアレです。
文殊様っていうと、知恵の神様というイメージがありますが、実は仏様です。
文殊菩薩
獅子の背に座るのが定番
文殊菩薩とよく対になっているのが普賢菩薩(ふげんぼさつ)で、こちらは白いゾウに座っています。
釈迦三尊像では、両脇がこのお二方になっていることが多いです。
普賢菩薩
さて。いわゆる仏様といえば、普通はだいたいこの如来と菩薩までです。
しかし仏像というくくりでは、これ以外にもまだあります。
天(てん)と呼ばれる、軍人たちの像です。
その中のトップは不動明王(ふどうみょうおう)なのだと思っていました。
……が、今見てみたら、明王は如来の姿を変えたものだから、天よりは上の存在なのだと書いてありました。
言われてみれば、そんな話も聞いたことがあります。
てなわけで、菩薩と天の間に明王があるようです。
天の話は次回に。
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義