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あすなろ142 鳥のお話(過去記事再掲)

2018年2月23日投稿

 

 

 

2013.08号

 

先日、我が家の四歳児に請われて一冊の本を買いました。
紙工作の本「NEOクラフトぶっく りったいとり館」です。

 

 

さて、それはいいのですが、できあがった鳥で遊び始めて、「白鳥ってなんて鳴くの?」と言われて困りました。
わたしゃ鳥はあまり詳しくないのです。

 

私の中の薄い知識に検索をかけてみたのですが、エサの取り合いをしているときに騒ぐ、ガーガー言う声くらいしかわかりません。
そこで、「確かガーガーいったと思った」と言ったのですが、四歳児様には、その鳴き方はお気に召さなかったようです。

で、結局は、「ハクハク」と鳴くということに決められてしまいました。

 

でも考えてみれば、ピカチュウがピカピカ鳴いてライチュウがライライ鳴くわけですし、それを思えば白鳥がハクハク鳴いてもいいか、ということにしておきます。

 

紙工作では、白鳥の前にはイヌワシを作ったのですが、イヌワシの鳴き声もよくわかりません。
ただ、鷲鷹類は一般にピーとかピャーとか鳴くことは知っています。
トビのピーヒョロロと同じ声です。

 

ですので、イヌワシもきっと同じように、ピーッと鳴くと思うよ、と四歳児にも伝えたのですが、もう既に人の話を聞いていない様子です。

まあいいんですけどね。

 

鳥に関してはですね、大学生の頃に一度、勉強したいなと思ったことはあるんですよ。
ですが、詳しい人を身近に捕まえられなかったために、結局その後10年くらい、そのままになってしまっていました。

 

しかし、その頃までは

 

「ウグイスの鳴き声を聞くと大興奮なマチの人」

 

だったのが、その後、家を買ったりするうちに

 

「ウグイスなんて聞き飽きたイナカの人」

 

となってしまいましたので、普段から鳥を見かける機会が増えて、少しはわかるようになってきました。

 

それでも、鳥は虫よりも難しいです。

 

虫ならば大抵、歩いていたり留まっていたりする様子を、顔を近づけてじっくりと見ることができます。
動きの速いトンボやチョウでも、網で捕まえてしまいさえすれば、図鑑と実物を並べて調べることができます。
網を張ったクモに至っては、一旦家に帰って図鑑を取ってから、また同じ場所に見に戻ってくることだってできます。

 

鳥は、そう簡単にはいきません。

なんせ近づくと逃げてしまいますから、遠くから目を凝らして見て、色などの特徴を必死で頭に叩き込んでおいて、ダッシュで帰って図鑑を開く、なんてことをしないと調べられません。
そんな状態ですから、なかなか見知った鳥が増えてこないのであります。

 

もう一つの難関は、鳴き声です。

 

私は、いわゆる鳴く虫が好きなのですが、実際にどれが何の鳴き声かは、図鑑を見てもわからないものが多いのです。
例えば、マツムシの鳴き声は図鑑では「チンチロリン」と書かれていますが、実際には「ピッピリリ」です。
クツワムシの「ガチャガチャ」は、「ガシャガシャ」と「シャカシャカ」と「シキシキ」の中間の音、といった具合です。

 

(こうやって鳴き声を日本語に書き落とすことを、「聞きなす」と言います)

 

そして、これは鳥も同じです。
「ホーホケキョ」のようなわかりやすいものならいいのですが、ホトトギスの鳴き声なんて、図鑑では「本尊掛けたか」「特許許可局」「テッペンカケタカ」ですよ。
それが実際に聞くと、「キョッキョッキョキョキョキョ」です。
どちらかといえば、「ホットットトギス」と鳴いていると聞きなすのが自然だと思うのですが。
 

 

そのホトトギスも、田舎に住み始めてから親しむようになった鳥です。
我が家の周囲では、家の上を飛びながら大声で叫んでいる声を聞くようになると、「ああ、夏も近いなあ」と季節を感じます。

 

ホトトギスは、季節限定で日本にやってくる「渡り鳥」の仲間です。
その中でも、ホトトギスやツバメのように、夏の間だけ渡ってくるものを「夏鳥」といいます。
逆に、ハクチョウのように、冬の間だけ日本にやってくるものは「冬鳥」です。

 

渡り鳥の中には、日本を通過するだけの「旅鳥」というものもいます。
シギなどのように、日本よりも北の地域で夏を過ごして、日本より南の地域で冬を過ごすために、旅の途中で立ち寄る連中です。

 

渡り鳥以外でも、移動をして暮らしている鳥は多いようです。

 

例えば、ウグイスやヒヨドリは、一年中日本国内で見られます。
しかし、暑い季節には山の方へ、寒い季節には平地へと移動して暮らしています。
こういう鳥は、「漂鳥」と呼ばれています。
これに対して、カラスやスズメのように、年中同じ場所で見られる鳥は、「留鳥」と呼ばれています。

 

 

ただ留鳥でも、地域によってはあまり移動しなかったりしている場合もありますので、「漂鳥または留鳥」という記述も多く見かけます。
また、留鳥といっても、その場に同じ鳥たちが留まっているとは限らないようで、ある程度の移動をしている場合もあるということです。
新潟で足輪を付けたスズメが、岡山で回収されたこともあるとか。

 

と、こんなことをウェブで調べていたら、ハクチョウの鳴き声を見つけました。
今はyoutubeなどがあるから便利ですよね。
聞いてみると、ああこれかって感じです。
なんというか、ガチョウのような声です。

 

早速、四歳児に聞かせてみました。

 

「めえめえだ」

「ひつじ」

「ひつじのなかまだ」

 

今日から、ハクチョウはヒツジの仲間です。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義


関連記事:あすなろ201 鳥の名の由来
→ホトトギスの名前などの話を、もう少しつっこんで書いています。